昨今は米利上げの加速等により急激な円安が進んでいます。従って企業が保有する『外貨建資産等』の円換算に期末時換算法が適用される際には、多額の為替差損益が生じています。
一方、外貨建資産等の円換算に発生時換算法を選択している場合であっても、為替相場の著しい変動(おおむね15%以上の変動)があった場合の円換算の特例(法法61の9④)により、期末時レートによる円換算が可能です。
円換算の基本的な考え方
それぞれのパターンをまとめると以下となります。
為替相場の著しい変動による円換算
発生時換算法を選択している場合等において、為替相場の著しい変動があったときには、期末に外貨建取引を行ったものとみなして期末時レートによる円換算を認めている特例があります。この特例は期末時レートを発生時レートとみなすため、為替差損益に係る翌期での洗替処理が不要となります。
具体的には、事業年度終了時の個々の外貨建資産等に対し、為替の変動割合がおおむね15%以上となる全ての資産等が対象となります。
なお当該特例は、届出書の提出等の特段の手続きが不要です。
特例対象の全ての外貨建資産等を取得時レートで換算
同特例により期末時レートでの円換算を行う場合、対象となる「おおむね15%以上」の外貨建資産等の全てを円換算する必要があり、一部の外貨建資産等のみを対象とする「つまみ食い」は認められませんので、ご留意くださいませ。
税理士 三木孝夫