国税庁 インボイスQ&Aを改訂し「外貨建取引における適格請求書の記載事項」を追加

国税庁は2022年4月28日、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」を改訂しております。改訂Q&Aには「問56 外貨建取引における適格請求書の記載事項」も追加されています。

追加された問56には、外貨建てによる取引であっても、適格請求書に記載が必要な事項は問43で示している記載事項と同様ですが、税率の異なるごとに区分した消費税額等を除き、「記載事項を外国語や外貨により記載しても問題ない」としており、その記載例なども示されています。ただし、外貨建取引であっても「税率の異なるごとに区分した消費税額等については、円換算をした金額を記載する必要」があるため、円換算の計算方法も示しています。


(外貨建取引における適格請求書の記載事項)
問 56 当社は、米ドル建てにより取引を行っており、当該取引に係る資産の譲渡等の対価の額については、法人税における処理と同様に取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っています。このような外貨建取引に係る適格請求書は、どのように記載すればよいですか。【令和4年4月追加】

【答】
米ドルなどの外貨建てによる取引であっても、適格請求書に記載が必要な事項は問43《適格請求書に記載が必要な事項》と同様ですが、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を除き、記載事項を外国語や外貨により記載しても問題ありません。
しかし、外貨建てによる取引であっても、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」については、円換算した金額を記載する必要があります。
具体的には、以下のいずれかの計算方法により、円換算して「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を算出することとなります。

1 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税抜)を円換算後、消費税額等を算出する方法
税率ごとに区分した対価の額【外貨税抜】× 《TTM》(注1) =税率ごとに区分した対価の額【円換算後】(注2)
税率ごとに区分した対価の額【円換算後】× 適用税率 = 消費税額等【日本円】(端数処理)

2 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税込)を円換算後、消費税額等を算出する方法
税率ごとに区分した対価の額【外貨税込】× 《TTM》(注1) =税率ごとに区分した対価の額【円換算後】(注2)
税率ごとに区分した対価の額【円換算後】×10/110 又は8/108=消費税額等【日本円】(端数処理)

3 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税抜)から計算過程の消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法
税率ごとに区分した対価の額【外貨税抜】× 適用税率 = 計算過程の消費税額等【外貨】(注3)
計算過程の消費税額等【外貨】× 《TTM》(注1) =消費税額等【日本円】(端数処理)

4 税率ごとに区分して合計した対価の額(外貨税込)から計算過程の消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法
税率ごとに区分した対価の額【外貨税込】×10/110 又は8/108=計算過程の消費税額等【外貨】(注3)
計算過程の消費税額等【外貨】× 《TTM》(注1) =消費税額等【日本円】(端数処理)

(注)1 消費税額等の算出に係る円換算の方法は、資産の譲渡等の対価の額の円換算の方法(基通10-1-7)と同様、所得税又は法人税の課税所得金額の計算において外貨建ての取引に係る売上金額その他の収入金額を円換算する際の取扱いの例により行うこととなります。

2 税率ごとに区分した対価の額を円換算する際、端数処理を行うかどうかは事業者の任意となります。なお、ここでの端数処理は、税率ごとに区分した対価の額の計算であり、適格請求書の記載事項としての「消費税額等」の端数処理には該当しません。

3 消費税額等の端数処理は、「1円未満」の端数が生じた場合に行うものであるため、計算過程の外貨建ての消費税額等を算出する際に、端数処理を行うことはできません。


税理士 三木孝夫

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