恒久的施設(PE)に関する「準備的・補助的な性格の活動」

BEPSプロジェクト及びOEDCモデル租税条約の改正を受けて、平成30年度税制改正により恒久的施設(Permanent Establishment 「PE」)の定義の見直しが行われました。
例えばAmazonの場合、米国本社が日本を含む現地に大規模多機能倉庫を有し現地消費者に直接販売する一方、Amazonの現地法人は倉庫管理等の業務に限定し、その所得は米国本社とのコミッショネア契約によってコストをカバーする程度の委託手数料であったことから、現地国で納税額が圧縮されていました。
そこで上記ケースに対応するため、本改正が実施されました。

 改正の概要

支店等PE、建設PE及び代理店PEの3区分の枠組みを維持しつつ、それぞれの定義を見直しました。

①支店PE

物品の保管、引渡し、情報収集、基礎研究等の例示勝度の定性的な評価のみで判断せず、その活動が準備的・補助的活動か否かで判断(結果、Amazonのような大規模多機能倉庫を利用する業態へPE課税認定の可能性が生じる)

②建設PE

建設工事等に係る契約を分割している場合の「1年超」の要件を満たすかどうかの判定は、正当な理由により契約を分割した場合を除き、期間の合算により判断

③代理人PE

契約締結代理人の枠組みを広げるほか、代理人PEの対象となる契約について、以下の3つを特定
i)  当該外国法人(委託者)の名において締結される契約
ii) 当該外国法人が、所有し、又は使用の権利を有する財産について、所有権を移転し、又は使用の権利を与えるための契約
iii) 当該外国法人による役務の提供のための契約

 準備的・補助的活動の範囲

では、支店等PEの準備的・補助的活動が想定する射程距離はどこでしょうか。
OECDモデル租税条約コンメンタリーで示されている解釈を参考にすると、活動が企業全体としての活動の本質的かつ重要な部分を形成しているかどうかという観点からの検討と考えます。

各事例の判断基準は実質基準によるため、現時点では十分な情報が不足していますが、例えば数少ない判決例である倉庫PE事件裁判例(東京高判平成28年1月28日)は参考になると思われます。
詳細は省略しますが、倉庫PE事件判決は「企業の全体としての活動の本質的かつ重要な部分を形成しているかどうかという観点」から判断すべきとの規範を示しております。

 おわりに

最近、国外での保管在庫が支店PEに該当するか否かを検討する機会がありました。あてはめでは、現地でのコミッショネア契約の建付けが重要であることはもちろんのこと、事業を行う一定の場所がビジネス全体にとって不可欠な活動か否かを検討していくことが、逆説的に準備的・補助的な性格の活動か否かの判断方法の一つになり得ると考えています。

税理士 三木 孝夫

 

 

 

 

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