中小・中堅企業の現地での文書化対応

日本側ではマスターファイル・ローカルファイルの文書化作成義務がないものの、相手国の海外の現地子会社側ではマスターファイル・ローカルファイルの作成義務がある場合がございます。

例えば、ベトナムの文書化義務の免除基準は以下のとおりです。

(1)現法の当期売上高が500億ドン(約2.5億円)未満で、かつ当期に発生した関連者間取引の金額が300億ドン(約1.4億円)未満の場合
(2)納税者が事前確認制度(APA)により価格の算定方法について税務当局と合意し、所定のAPA年次報告書を提出した場合
(3)単純な機能を有し、無形資産の開発や使用による売上高や費用が発生しない納税者が、売上高2,000億ドン未満かつ純売上高に対する利払い前・税引き前の営業利益が販売業5%、製造業10%、加工業15%を上回る場合

またインドネシアの文書化義務の免除基準(いずれにも該当せず)は以下のとおりです。

(1)(関連者取引があったとしても)前年度の売上高が500億ルピア(約3.9億円)以下の場合
(2)前年度の関連者との有形資産取引が200億ルピア(約1.6億円)以下の場合
(3)前年度の関連者と有形資産取引以外のその他の取引が50億円ルピア(約0.4億円)以下の場合
(4)インドネシアと比べて低税率国に所在する関連者との取引が無い場合

日本のマスターファイルの作成基準は連結ベースの前年度の売上高が1,000億円ですが、ベトナムやインドネシアなどの東南アジアに現地法人がある場合は現地国でマスターファイルやローカルファイルの作成が必要となるケースがあるため、日本の親会社と現地子会社にとっては大きな負担となります。

ただし完全に現地任せで文書化対応をすると、現地の税務リスク軽減だけに着目した文書化内容(例:現法の機能・リスクを過大に評価など)となるケースも多いことから、日本の親会社及びグループの税務リスクを管理する観点からも、文書化対応にあたっては日本の親会社との連携が不可欠です。

弊社では文書化の作成代行や作成サポートについて多数の実績を有しておりますので、まだ文書化対応をされていない法人様や文書化の更新をご検討の法人様はお気軽にご相談ください。

税理士 三木 孝夫

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